蔵出し大放出で、今まで読んでいてブログに書き損ねていたコミックを引っ張り出しています。
これはかなりのお気に入りです。
なんですぐにレビュしなかったのかが謎ですが、きっと単に私が忘れてただけでしょうな。
“坂を登った突き当たりにある、さびれた画廊――…”その画廊の店主・谷崎は、実は…だらしないその風貌はどう見ても人間嫌いの変わり者だが、天然系の中居が傍に来てからは、彼の周囲が一変して…!?谷崎と中居の出逢いを描いた「マイビューティフル・ワールド」と、描き下ろしも収録したファン必読のコンプリート新装版!!
寂れた画廊の店主・谷崎。一見だらしないその風貌は、人間嫌いの変わり者…。実は谷崎は贋作家。だが天然天使の中居の影響か、その知識は彼の意に反して画廊に訪れた心優しい人たちの悩みを次々と解決していき…!大人気「画廊」シリーズ、長編4作にショート描き下ろしを携えて第2弾、遂に登場!!
学生時代からの友人である美青年と美少年(笑)のハートフルなお話です。
ちょっとした美術史のお勉強にもなって、よろしくてよ。苦笑。
1話完結形式で進んでいくのですが、とにかくとてもよく出来ているのです。
美大時代からの友人である谷崎と中居。
2人の出逢いは、その美大時代に映像専攻している中居がビジュアルとしての谷崎に惚れこんで声をかけたことから始まります。
会ったその日に自分はゲイだとカミングアウトをした谷崎に映像のモデルになる条件として、報酬に中居のカラダを要求するのですね。
…なんともアバウトな展開ですが、ボンビーな中居はそれを飲むのです。さすがBLファンタジーですな。
結局初めはそんな関係だった二人ですが、いつしか本当の恋愛に発展していくのです。
というのがエピローグで、物語はすでに大学を卒業して谷崎が祖父の画廊『胡桃の中』を継いだということが前提で話は進んでいきます。
色々な訳ありの画を持ち込んでくるこの画廊の裏の顔は、表には出来ないことを報酬にあわせてこっそりと仕事をしてくれるという、なんとも時代錯誤的な商売です。
画が本来あるべき姿、あるべき場所、持つべき相手に戻るために、自分の手を汚していく谷崎なのです。そんな谷崎に寄り添うように中居は黙って見守っているのですが、それでも好きな相手が危険な目に合うことをよしとしないし、自分も何か役立ちたいと願うのです。
無論、それは谷崎も然り。けれど、自分のしていることをはっきりとわかっている谷崎は、決して中居の手を染めさせるようなことはしない。純粋で穢れのない中居を汚したくないとココロから想うのです。
自分は悪いことをしていると割り切っていても、どうしようもなく遣り切れなくなり、真剣に谷崎に向かい合おうとする中居にわざと突き放すような言葉を投げつける。
けど、中居はちゃんとわかってるのです。
―…わかってるよ。お前は何も言ってくれないけど…本当はやっちゃいけないことを『ここ』でしてることくらい…でも俺は信じてる…正しいことじゃないかもしれないけど、「悪」じゃないって俺は信じてる。だって俺、知ってるもん。お前のついた嘘で幸せそうに笑った人達がいることを。だから俺…―このココロから零れる愛情溢れる言葉で、谷崎は救われる。
―誰も何も言ってはくれなかった。親もじーさんも…だけど俺は、言ってほしかった。ひと言でいいから、ウソでもいいから、お前は悪くないって…―2人の絆がより一層強くなったのは言うまでもないですよね。
1巻目は新装版ということで、おまけ描き下ろしが12Pと谷崎と中居の出逢いと逃避行の話が収録されてます。
2巻目はちょっとだけ成長した二人がおなじみの『胡桃の中』に持ち込まれる悩みを解決していってます。
どのお話も心情豊かに丁寧に進んでいくので、とても楽しいです。
2人の信頼しあった羨ましい関係も微笑ましい。
エロが少なめですが、必要であって必要のないものなので、まったく気になりません。
このシリーズのノベルがあっても読んじゃうんじゃないかな?って思うくらいよく作りこんであります。
なんとなくまだまだ続いていきそうな予感を孕ませていますが、川唯先生自身も何年後になるか…と言ってますのでイツになることやら。涙。
それでも気長に待ちたいな。
こういう作品は、昨今溢れすぎているエロ主体のコミック界には、非常に貴重なんじゃないでしょうか。
もちろん、BL自体にその要素が含まれているので否めませんが、陳腐にならないきちんとした作品がもっと増えるといいなあと考えてしまうオバハンなのです。

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