タッチ・ミー・アゲイン
今年は大好きなヤマシタ先生がすでに2冊も出たという嬉し恥ずかしなのだが、これってもう打ち止めってことじゃないよね?……まだ12月までは先が長いぜ先生〜!
![]() | タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミックス) (2008/01/10) ヤマシタ トモコ 商品詳細を見る |
7年前、お前は俺を抱いた。でもそれっきり俺達はあの夜を忘れた『親友』の振りをし続けている…。近くにいるからこそ相手の本心がわからない迷路。でも触って、見て、ぶつけてほしい。あらゆる欲望が混在するその想いは、言葉にしたら「愛」なんだろう?特別な想いを込めた短編集。
忘れたいのに忘れられない過去に交わる肌の温度。
ドキリとしたな。
以下ネタばれあり↓
口よりもすぐ殴る癖の遠田と、すぐ間違える癖の押切は10年来の友人。ただひとつお互いに触れることのない過去がある。それは7年前に一度だけセックスをしたこと。
それでも友人であり続けようとするために、お互いにあの日を忘れた振りをして生きてきた。
あの日のことについて触れることなく、話すことなく、見ることなく、感じることなく。
本当はそのすべてを触れたくて、話したくて、見たくて感じたくてたまらないのに、「友人」としてそばにいるために、嘘を重ねてきた。
本当にそばにいたいのに、嘘を重ねる。大切な相手なのに自分の気持ちを偽って嘘を重ねる。
……痛いです。切ない。想いを寄せあう二人のピンと張りつめた糸が、限界をムカエタときにどうするのか?そんな危うさを漂わせながら話が進むのですね。
作品中にこんな言葉が出てくる。
――忘れたふりは簡単で すぐに互いの秘密になった 「好きだ」とは言えなかった
なぜ おれたちは あのとき言ってしまわなかったんだろう 今ではもうあの頃のようには素直に思えない――
『もういい』が 百万回
『でもまだ』が 百万一回 ばかげてる
『おればかりおまえのことを』が 百万回
『もしかしておまえも』が 百万一回
これは秀逸なセリフ。してやられたりと唸った。恋愛ループの基本中の基本を、ズドンとど真ん中目掛けてバズカー砲をかまされたね。
苦しいけど抜け出せない迷路。でも出口はわかってたりするんだよ、こういうときって。わかっているけど、この迷路を抜け出す勇気がない。その勇気の源になる想いに確証を得たいけど、それを手に入れることもできない。すべては薄い皮一枚隔てたすぐ向こうにあるというのに触れることができない。苦しい苦しい苦しい。
男同士であるがゆえに落ちていく穴。でもそれが深いか浅いかは、落ちてみなければわからない。こんなリアルな世界を描かせたら、今ヤマシタ作品以外あるかしら?上手いなあ。
兎に角、選ばれたネームひとつとっても上手い!
友人としているために重ねたウソの限界。切れた糸からの暴走。
――「今日まで何のために」
今日までの『友人』の嘘 この先何十年も一緒にいるなんて無理な話だ でもその終わりがせめて明日でないように そのための嘘だ ……嘘だったんだ
「……もうムリなんだよ。ガタがきてる」
「だから今度はちゃんと、忘れたフリなんかさせねぇようにちゃんと……」――
飾らない言葉だけに、すっごいリアルさ100倍、萌1000倍(笑。
ひとつのセリフに胸打たれるコミックって、少ないよ。この作品何度読んでも切ないーって思うもの。
ただ、その分ラストがなんだかさみしいような気もした。でも男同士だからかえってこんなもんなのかもしれないよな。
なんだか表題作に随分やられちゃったけど、そのほかの短編もよかった。
『息をとめて』
紙屋さんとデザイナー。
ソツのないある意味ズルイ受と芸術肌でアーティスト特有のコミュニケーション嫌いでキュートな攻のお話。攻めのセリフが笑ける。かなりSだよな。ちょっと明後日の方向を向きながら言葉攻めをする攻めが可愛い。でもあんた、ズルむけって……苦笑。
『ヘヴィ・シュガーの嫌がらせ』
大学の同級生。
すべてを曖昧に濁らすため「さあ」というあだ名の攻めと、ちょっといつもビクついている受。
ほんと短編だけど、受はきっとすっごいベッドの上では可愛いと思う。攻めのボケがナイス。
『Candied Lemon Peel』
高校からの友人。
男前で女装が美しいゲイで変態の攻と見た目はそれこそ”男”くさいが名前が「檸檬」ということにめちゃくちゃ劣等感を抱いている受のお話。
健気にずっと攻めが受けのことを好きでいた気持ちが、なんか切ないなあ。まあ最終的には食っちゃってたけど(笑。
微妙なヘタレ攻めなのか?と思いきや、ヘタレ受けのド変態攻めだった。
親は子供に名前を付けるときは、年取ったときのことを考えてやれっ!!
『nuotatore neo cantero!』
13年間思い続けていた友人に、1%の可能性があるなら連絡をしてと愛の告白した男のどきどき話。何気にこの話が一番可愛かったかも。だってこれって男に限らない。っていうか、こんな告白のあとはみんなこんな気持ちで携帯とにらめっこするもんね。うん、わかるわかる!短い中にそんなドキドキグルーヴ感が詰まってる。
『スターズ☆スピカ☆スペクトル』
お化けだ。こんな急に部屋に現れたら、取り合えず私は失神するな。
『うしめし』
念願かなって想いが成就し、初めて夜一緒に過ごした朝、幸せをかみしめて朝ごはん。
ねえ、何食べる?って、牛丼かよ。でもそこに「男」を感じるぜい。萌(笑。
あと「タッチ・ミー〜」「息を〜」「Candied〜」「スターズ〜」のおまけページがあります。
ふー。こりゃ盛りだくさんで、お腹いっぱいになれますよ。
「くいもの処・明楽」とはまた違った等身大のBLが味わえる一冊です。かなり私的には大好きな部類ですな。満足満足。
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コメント
こんにちは。
先日は初めまして、だと失礼なことを申し上げてしまい本当ごめんなさい。
いつもTB下さっていたのに…。
ヤマシタさんいいですよねぇ。
親父受けが大好物なのもありますが
等身大の飾らないキャラたちの
素の恋だからこそすごく切なくなれるんだと思います。
これからもこの作風続けていって欲しいですねv
まだまだ追いかけて行きたい作家さんです。
2008.01.21 puri 編集
puriさん、こんにちは〜
いえいえそんな大丈夫ですよ!気になさらないでください。
ホント、ヤマシタ先生は乗りに乗ってるって感じでございます。今どき男性の微妙なラインを上手に表現できる数少ない作家さんですよね。
今後も目が離せません。
2008.01.22 森 編集
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ヤマシタさんの描く恋に臆病なへたれ親父(受)は本当に素晴らしい。 今回も、もう可愛すぎてたまりません。 攻めがことごとく変態サディストだというのもすごく頷けます。 だって、本当に苛めたくなるんです…! 「え おれが 抱かれるの?」的な受けが大好きな方 ... …
BL Diary・2008.01.21
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