身勝手なあなた / まさお三月
01 31, 2008 | Posted in BLコミック作家 *ま行 まさお三月 | Thema アニメ・コミック » ボーイズラブ
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『BLの物語のちから』という帯がついてました。
意外とこの言っている意味合いは、深い。障害ありきで始まる恋愛物語に違いないわけで、その山を乗り越えて得られる幸福感というものは、至極『ちから』があることに間違いない。
……なあんてね。
さてさて、この作家さん初コミックスだそうです。みなさん、新人さんでもそれこそ『ちから』をお持ちでいらっしゃるのですねえ。BLスキーな私には涎もので嬉しい悲鳴です(お財布も別の悲鳴をあげてますけどね)。
「彼氏と別れたから慰めて」可愛い顔をしてフラリと辰雄のアパートにやってくる夏目先輩。辰雄は彼に美味しいゴハンと、ちょっと乱暴なHを与える役目。本当は夏目先輩を愛しているのに…。平気な顔をして心には切ない気持ちを抱え込んでいる、そんな短編を6編収録した初単行本★描き下ろし14Pはとっても幸せな4コマ♪
『好きな人と抱き合えるのに心が通じていないのは、存外苦しいものらしい』
この言葉も帯に抜粋されてました。表題作に登場する攻めである、辰雄の心の叫びです。
高校時代の先輩である夏目は、とっても我儘。寂しかったり、男に振られたり(ゲイであることはすでに前提)すると、フラリと辰雄のアパートに来ては身体で慰めてもらう。
辰雄はノーマルです。故に夏目は自分を受け入れてくれるのは、ただ単に辰雄が心の広い後輩で、自分を甘やかしてくれているだけだと思っている。
一方の辰雄にしてみれば、夏目のことを好きだからそういうことをしているのに、相手は自分をただの『都合のいい後輩』としか見ていないと思っている。
いや、ちょっと考えればわかるでしょ?と思うような行為も、夏目にしてみれば辰雄はノーマルだからゲイの自分を受け入れるわけがないと思ってる。でも、身体を繋げてるのにそんな言われようは、まるで辰雄が節操のない人のような考え方じゃないの?ともとれるのですが、そう思わせない夏目というキャラを作り出したことが凄い。
逆にそんな夏目が可愛いとさえ思わせる。
気持ちのズレが二人の仲を疎遠にさせるが、それもすべて夏目が主導権を持っている。なのに夏目自身はそのことに気がついてない。なんて素敵な天然なのかしら。苦笑。
夏目にしてみれば、辰雄とどんなカタチでも繋がっていたいと思う一心で顔色を窺いながら、ウザいと思われないように一生懸命に会う間隔を空けてみたり、重く思われないように悪ぶってみたりするんだけど、それはすべて辰雄に自分は好かれるわけがないということが大前提なんですよね。それがイジラシイとか思わせるこのBLマジックの素晴らしさ(笑。
互いの気持ちがちゃんと交差することができて、一件落着となるまでの道のりがよくよく考えてみれば、高校からだろ〜と考えると、なんて長かったんでしょうとか思っちゃいます。それが帯の言葉に繋がるんですよねえ。
ホント、素直になることは大切です。苦笑。
他短編が6編。
「知らなくていい」
高校時代に友人に告白された男が、10年後に行きつけのカフェのオーナーになっていた彼に偶然に再会するというお話。表題作の次にこの話、好きですね。
男に告白されたことを「気持ち悪い」という最悪の表現で断ったことを、ずっと後悔している主人公。性的感情が入ったことで、友人という相手を傷つけたわけですよ。そら忘れられるワケがない。でもその後悔という都合のいい言葉の裏にある、本当のコトに気が付いたのは再会後なのですね。ふふふ。
トボケテルのに変に勘のいい店のバイト君が、いい味だしてます(笑。
「夕暮れにはまだ早い」
高校の同級生同士の話。先輩と付き合っていた友人のことを好きな気持ちを素直に打ち明ける。先輩とはセフレだったと嘯く彼を大切にするお話だな。とにかく二人とも可愛いよ。毎日手とかつないでイチャイチャしちゃえ!
「甘くない」
大学生のお話。不器用なゲイの男の子とノーマルで付き合う子にはベタベタした男の子の攻防戦(笑。男同士は好きあってても、普通に振る舞えない現状って少なくないんだよなあと改めて思っちゃいましたね。ホント、切ないなあ……だからこそ、想いが通じ合えた時の強さって相当なもんじゃないのかなあ。
「幸せな人たち」
突然父親が男を連れてきて「お母さんだよ」というなんて、そりゃびびるっつうの。
よくできた息子(13歳)のショートストーリー。
「全部君のせい」
レトロ感漂うメガネ書生受けのお話(笑。 作者もいつの時代かわからないと言ってますが、そうだなあ明治とかそんなとこ?下宿先の放蕩息子とまじめな書生さんの恋愛物語です。デブ猫の欽二さんにモフモフしたい……
最後のおまけに、お題「夏みかん」で各短編の主人公たちが4コマ漫画で登場してます。
こちらもホントほんわかおもしろ作品のオンパレード。
どの作品もハートフルで切なくて、それでいて甘くてニンマリするようなものばかり。とても初コミックスとは思えない一冊。唇の描き方がプックリとしていて、思わず触れたいっ!とウズウズしてしまう画力の持ち主です。
少年と青年の曖昧なラインをすごく的確に描かれているので、違和感なくその年代ありきで登場人物がそれぞれに可愛らしいと思えます。
今後の作品も激期待大!!













