美容院へいくと、一番楽しみなのはシャンプーしてもらうこと。あれって気持ち良くて、仕事帰りの予約時の美容院はほとんど寝てました(笑。
ジットリと何気にエロいんだよね〜これ。
商社勤務の宗方惇は大学時代からの親友、里村今日子の勧めでヘアスタイルを変えることに。紹介された美容院『H.S.T』では店主の石蕗が担当してくれたのだが、そのシャンプーテクニックに惇は言いしれぬ快感覚えてしまう。イメチェンの評判も上々で『H.S.T』通いを始めた惇だが、泥酔した時に正体不明の男から濃厚なペッティングをしかけられ…相手はもしや石蕗!?純粋でいてほとばしるような情熱に搦め取られ、惇は次第に自分ですら知られなかった己の姿に気づかされることに―。美容師×会社員の官能的ラブ・ストーリー。
際どいわけでもないのに、かなりドキュンとやられます。昼下がりの情事じゃないけど、なんだかいけない場面を覗いちゃったような、そんな感じ。腐腐腐。
確かに髪の毛を洗ってもらってるときって、かなり無防備だよなあとぼんやり考えたり、しかも気持ちいいってことは、ある意味感じてるってことだよなとリアルに想像したりと、読んでる最中、そりゃもう忙しいです(笑。
抑えきれない情熱が指先から伝わってしまうような、そんな宗方への想いを胸に秘めていた石蕗は、宗方の親友・里村とは幼馴染。恋心を知っていた里村は、ずっと親友として付き合ってきた宗方が実はマイノリティの要素があると考えていたので、互いを知りつくす彼女として、この二人を会わせれば上手くいくのではと思いつき物語の導入部分に行きつくというわけ。
その情熱的でいてどこか切羽詰まったような恋心は、無論エロスを感じるのだけれど、なんだか読んでいてちょっと切ないんだよなあ。それはパンパンに膨らみ過ぎた風船が、弾けそうになるその際のような感覚に近いかな。
突然とマイノリティによる恋の濁流に翻弄される宗方なんだけど、徐々に自分のその本質に目覚めていくのよ。それは里村が直観していたことに匹敵するんだけど、初めはそんな自分自身を持て余していた宗方なんだけど、直向きな石蕗による想いや素直に自分を見つめ直してそのことを受け入れるんだよね。
まあそんなこんなな間でも、身体は先行で繋がってばっかなんだけど(笑。
ただこの話、実はスケールのデカイ話になってるのね。単純な恋愛話だけではなくて、石蕗の過去の結婚話や人間関係に纏わって、互いの気持ちをしっかりとしたものになる事件が勃発するんだよね。その過程がとてもよく練られていて面白いのですよ。
冷静に考えれば、ちょっと大袈裟かなと思うようなシチュなんだけど、読んでる最中は全くそんなことはないのよ。真夜中の無言電話から始まって、トラック激突による店の破壊、よき相談相手のテーラーショップの♂×♂夫婦、昔の石蕗の妻、ヤクザ。そんなことが本当に色々と混じりあい、こなれて捩れて、ひとつの太い話を作り上げているのよね。色々な不安を抱えつつ、それでも恵まれた周囲に感謝をし、本当に好きな相手に巡り合えたことに感謝をすることが何よりも確かな真実だという答えに辿り着いた宗方は、やっとラストに石蕗に「好き」という言葉が言えるのよ。どれほど想いを逡巡させたところで、真実に辿りつけなければ意味はないんだよね。ホントによかったよ。
どうして自分は男と寝ているのか、みたいな疑問を常に持ち続けていた宗方だけど、結局そこに「好き」という想いがあったにせよ、相手が男性だとい強い倫理観によってそれは除外視されてたのよね。けれど、色々な事件を山あり谷ありで乗り越え、やっとラストにそんな固定観念を払拭させてきちんとその答えを見ることができた。
非常に内容がずっしりとした読み応えのある1冊です。確かに濃ゆいエロもプンプンなんだけど、全然エッチくないのですね。理由がはっきりして相手を求める石蕗と、わからないけど相手と繋がりたく思う宗方のパワーバランスが違うようで均等がとれているエッチは、非常に艶かしいのだけどね。
「Lins」というタイトルが、なんとなく妖しく蠢く指を想像させるのよね……と、腐女子妄想炸裂な1冊でございます(笑。
ちなみに宗方が唯一ずっと付き合っていける女親友・里村は、レズビアンだという種明かしは話中盤に出てきて引っくり返りました(笑。

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