ホテル・ラヴィアンローズ
05 09, 2008 | Posted in BL小説作家 *た行 高遠琉加 | Thema 本・雑誌 » ボーイズラブ
6 Comments
昨日丁度このレビュを書こうかとPCに向かったら、こんなニュースが……
ラッフルズがねえ……所有者は変わっても、建物と威厳と格式はそのまま残っていくのかな。そんなことを考えると、なんだか建築物を象徴的に使う高遠本の意図するところが見えるような気がするよなあ。
気がつけば、高遠本は初めてのレビュですね〜。そんなに数多くは読んでいませんが、それでも好きな作家さんの1人なんです。でもレビュを書きにくい気がする作家さんでもあるのですね〜。
街中に建つ瀟洒なプチホテル・『ホテル・ラヴィアンローズ』。寡黙で精悍なフロント係の数樹は、毎週金曜の夜に決まって『赤』の部屋に泊まりにくる、ワケありげな美人サラリーマン・浅海のことが忘れられなくて……!? レトロで洒落たホテルの夜を妖しく彩るのは、駆け落ち、熱い思い出、そして奪う愛!! 純愛と情熱が交錯するロマンス、書き下ろし作品も収録!
ある意味ストレートなんですよね、高遠本は。言いたい事というか、伝えたいこととかを特別遠まわしに表現することがないのですよ。設定されたキャラが非常に上手に立ち回ってくれ、しかもその舞台になる場所自体が大きな役割を担ってる。そのキャラの職業だったり性格だったりよりも、この「場所」こそが大きな物語のファクタになってるんだよね。特に今回のこの本では、それが如実に出てると思う。
キャラ自身が表現してなければ遠まわしなんじゃないかと思うかもしれないけど、そうじゃないんだよ。先にその「場所」があって、次にキャラあって、それらがその「場所」という空間を巧みに使いこなしてくれているような気がする。もっと言っちゃえば、目に見ることが難しい人の感情や時の流れ、こちらが汲み取らなければならないような想いそのものが、その「場所」という形を用いて具現化してくれているから、こちらは読めばすぐにキャラの感情がダイレクトに伝わってくる。あくまでも個人的意見ですけどね。
青バージョンでは、廃墟となったホテルから話は始まる。その場所に訪れた久住は、若かりし頃の逃避行を振り返りここで得たものと失ったものの大きさに嘆き、そんな自分を苛むのね。その揺さぶられるような痛嘆が、かつてはそこで存在していた「ホテル」という「場所」が、今の廃墟となったその現状との明暗なる対比によって、想像以上のものが伝わってくる。あのとき確かに手にしていたものが、時の流れとともに崩れさってしまったような感傷とか。すべてがなくなってしまったのか、無になったのかというと決してそうじゃない。廃墟というその場所がゼロになったというだけで、それはまたプラスにもなれるという予感を孕んでいるっていうことを忘れちゃいけない。その無と化した「場所」でもう一度芽生えた恋情の光は、未来を予感させるものだからこそ、その廃墟での偶発的(まあBLファンタジーともいうけど)再会も、素直な気持ちで感動を持つことができるんだと思う。
赤バージョンでのホテルは「生」の象徴的立場で使われてるようです。その「生」の中で、いつまでも過去に捕らわれ死んだように生きている男性・浅海。この「生」というのは、まさに今現在進行形の状態だと思う。浅海が過去に起こした事件が幽霊話として語られることも、時間は違えども今「生」としてある同じ場所でおきたことには変わりがない。どんな辛い過去や悲しい出来事さえも、例え今起きた事柄だとしても、「今」というこの時間さえあっという間に過去となってしまうもの。「今」という概念がその過去の積み重ねによるものだとするならば、それはどんな辛い過去さえもすべて受け入れないと「生」という現在進行形にはならないということじゃないのかな。浅海はそんな過去を受け入れることができなかったから、自分が「生」に存在していても息苦しくて辛いだけだったのだと思うんだよね。「今」を上手に生きることの出来ない浅海を引き上げてくれたのが、その「生」の象徴であるホテルで働く数樹だったんだよね。ようやく自分が生きているのは過去ではなく「今」だということがわかった浅海。そんな浅海と数樹の現在進行形になる恋愛は、始まったばかりなんだろうな。
ラストはホテルにもまだなっていないお屋敷の話。古きよき時代、没落する華族の名残が色濃くあるようなそんな時代。かつては自分の屋敷だったが、没落後愛する家を追われた千尋。そんな彼は幼き頃から心を寄せていた健志に支えられて生きてきた。己の幸せよりも自分の存在が健志の出世にひびくと身を引く決意をする千尋。千尋を喜ばせたいためにかつての屋敷を買い取りホテルとする計画を進めていた健志。共に互いを思いやるその姿は、その昔、幼き頃屋敷で家族と共に過ごしていたときに感じた幸福となんら変わることはない。今は主のいない屋敷だけど、そこはいつもその「場所」にあってなんら変わることなく佇んでいる。それはずっと支えてくれた互いの存在と同じなのだとその古い屋敷が象徴となって教えてくれているようです。
いやあ、なんだか上手く言えないんですが、そんな感じです(どんな感じよっ!)。苦笑。
まあどっちにしろ勝手な個人的意見なので、余り参考にはならないと思います。汗。
この本を読んだときに、なんともいえない感傷めいたような感覚があったんですよね。最初はそれがなんなのかよくわからなかった。それって余りにもストレート過ぎて見えてなかったっていうのに近いですね。これは某素敵サイト様でのレビュを読んでやっと気がつきました(笑。 まさしく生きている上で絶対的に切り離せない「過去」「現在」「未来」という三原則が「場所=ホテル」という箱を使ってそれぞれ語ってくれてる。そりゃもうストレートです(笑。 だからすっごく身につまされる感情が起きてくるんですよ。だって誰もがこの三原則を体感しながら生きてるんですからね〜。
高遠本では上位に入りますね、これ。私は単純単細胞なので、こうダイレクトにくるものは大好物です。不覚にも「青」バージョンで2人が引き裂かれる部屋で、事の次第をやっと悟った久住が叫ぶ場面は泣けた〜くぅ〜涙。……そうです。私は単純なんですよ〜(笑。
名門ラッフルズホテル、欧州の個人投資家に売却へ
(5月8日13時37分配信 読売新聞)
ラッフルズがねえ……所有者は変わっても、建物と威厳と格式はそのまま残っていくのかな。そんなことを考えると、なんだか建築物を象徴的に使う高遠本の意図するところが見えるような気がするよなあ。
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気がつけば、高遠本は初めてのレビュですね〜。そんなに数多くは読んでいませんが、それでも好きな作家さんの1人なんです。でもレビュを書きにくい気がする作家さんでもあるのですね〜。
街中に建つ瀟洒なプチホテル・『ホテル・ラヴィアンローズ』。寡黙で精悍なフロント係の数樹は、毎週金曜の夜に決まって『赤』の部屋に泊まりにくる、ワケありげな美人サラリーマン・浅海のことが忘れられなくて……!? レトロで洒落たホテルの夜を妖しく彩るのは、駆け落ち、熱い思い出、そして奪う愛!! 純愛と情熱が交錯するロマンス、書き下ろし作品も収録!
ある意味ストレートなんですよね、高遠本は。言いたい事というか、伝えたいこととかを特別遠まわしに表現することがないのですよ。設定されたキャラが非常に上手に立ち回ってくれ、しかもその舞台になる場所自体が大きな役割を担ってる。そのキャラの職業だったり性格だったりよりも、この「場所」こそが大きな物語のファクタになってるんだよね。特に今回のこの本では、それが如実に出てると思う。
キャラ自身が表現してなければ遠まわしなんじゃないかと思うかもしれないけど、そうじゃないんだよ。先にその「場所」があって、次にキャラあって、それらがその「場所」という空間を巧みに使いこなしてくれているような気がする。もっと言っちゃえば、目に見ることが難しい人の感情や時の流れ、こちらが汲み取らなければならないような想いそのものが、その「場所」という形を用いて具現化してくれているから、こちらは読めばすぐにキャラの感情がダイレクトに伝わってくる。あくまでも個人的意見ですけどね。
青バージョンでは、廃墟となったホテルから話は始まる。その場所に訪れた久住は、若かりし頃の逃避行を振り返りここで得たものと失ったものの大きさに嘆き、そんな自分を苛むのね。その揺さぶられるような痛嘆が、かつてはそこで存在していた「ホテル」という「場所」が、今の廃墟となったその現状との明暗なる対比によって、想像以上のものが伝わってくる。あのとき確かに手にしていたものが、時の流れとともに崩れさってしまったような感傷とか。すべてがなくなってしまったのか、無になったのかというと決してそうじゃない。廃墟というその場所がゼロになったというだけで、それはまたプラスにもなれるという予感を孕んでいるっていうことを忘れちゃいけない。その無と化した「場所」でもう一度芽生えた恋情の光は、未来を予感させるものだからこそ、その廃墟での偶発的(まあBLファンタジーともいうけど)再会も、素直な気持ちで感動を持つことができるんだと思う。
赤バージョンでのホテルは「生」の象徴的立場で使われてるようです。その「生」の中で、いつまでも過去に捕らわれ死んだように生きている男性・浅海。この「生」というのは、まさに今現在進行形の状態だと思う。浅海が過去に起こした事件が幽霊話として語られることも、時間は違えども今「生」としてある同じ場所でおきたことには変わりがない。どんな辛い過去や悲しい出来事さえも、例え今起きた事柄だとしても、「今」というこの時間さえあっという間に過去となってしまうもの。「今」という概念がその過去の積み重ねによるものだとするならば、それはどんな辛い過去さえもすべて受け入れないと「生」という現在進行形にはならないということじゃないのかな。浅海はそんな過去を受け入れることができなかったから、自分が「生」に存在していても息苦しくて辛いだけだったのだと思うんだよね。「今」を上手に生きることの出来ない浅海を引き上げてくれたのが、その「生」の象徴であるホテルで働く数樹だったんだよね。ようやく自分が生きているのは過去ではなく「今」だということがわかった浅海。そんな浅海と数樹の現在進行形になる恋愛は、始まったばかりなんだろうな。
ラストはホテルにもまだなっていないお屋敷の話。古きよき時代、没落する華族の名残が色濃くあるようなそんな時代。かつては自分の屋敷だったが、没落後愛する家を追われた千尋。そんな彼は幼き頃から心を寄せていた健志に支えられて生きてきた。己の幸せよりも自分の存在が健志の出世にひびくと身を引く決意をする千尋。千尋を喜ばせたいためにかつての屋敷を買い取りホテルとする計画を進めていた健志。共に互いを思いやるその姿は、その昔、幼き頃屋敷で家族と共に過ごしていたときに感じた幸福となんら変わることはない。今は主のいない屋敷だけど、そこはいつもその「場所」にあってなんら変わることなく佇んでいる。それはずっと支えてくれた互いの存在と同じなのだとその古い屋敷が象徴となって教えてくれているようです。
いやあ、なんだか上手く言えないんですが、そんな感じです(どんな感じよっ!)。苦笑。
まあどっちにしろ勝手な個人的意見なので、余り参考にはならないと思います。汗。
この本を読んだときに、なんともいえない感傷めいたような感覚があったんですよね。最初はそれがなんなのかよくわからなかった。それって余りにもストレート過ぎて見えてなかったっていうのに近いですね。これは某素敵サイト様でのレビュを読んでやっと気がつきました(笑。 まさしく生きている上で絶対的に切り離せない「過去」「現在」「未来」という三原則が「場所=ホテル」という箱を使ってそれぞれ語ってくれてる。そりゃもうストレートです(笑。 だからすっごく身につまされる感情が起きてくるんですよ。だって誰もがこの三原則を体感しながら生きてるんですからね〜。
高遠本では上位に入りますね、これ。私は単純単細胞なので、こうダイレクトにくるものは大好物です。不覚にも「青」バージョンで2人が引き裂かれる部屋で、事の次第をやっと悟った久住が叫ぶ場面は泣けた〜くぅ〜涙。……そうです。私は単純なんですよ〜(笑。












