この記事を読んでなんとなく納得したのは、私だけじゃないと思うよ。
元恋人の携帯番号、女性より男性の方が「消去できない」
(2008年5月15日16時00分 配信:オリコン)
私は結構速攻で不要な過去は切り捨てるタイプなので真っ先に消しちゃうけど、男のツレとかは普通に残してたりしてるもんね。別れたら絶対に連絡なんか取るつもりないからなんだけど、逆に向こうから連絡が普通にきたときはビビるって。なんで携バンまだ知ってんの!?って話だもん。
そんな連絡よこされてもどうなのさと、こっちは突然ふってくる過去にアタフタするって……と、無理やりにまたしてもタイトルにつなげてみたけど、ダメッすかね。苦笑。
表紙のオビをとったら、まんま白かったからちょっとビックリ。ははは。
大学助手の蓮実秋祐は、いとこの袴田涼嗣と同居している。同い年のくせに、際限なく甘やかしてくる涼嗣に、秋祐は密かに恋をしていた。近すぎる距離があたり前になっていた二人だったが、涼嗣が恋人・理名との結婚を決めたことから事態は大きく動き始める。秋祐は涼嗣への想いにピリオドを打ち、離れる決心をするが―。
はるひん本の認識が改まりました。というか、今まで読んできたのが余りにもそっち系に傾いていたのかなあ。その辺は定かではないですが、これははるひん本という先入観が尽く覆されましたね。いや、私的には良い意味ですよ。
少しだけ物語の軸背景が薄いような気もしましたが、後半でグッとその辺りの厚みが補完された感じでしたね。更に登場こそ少なかったり、なかったりの脇役の面々も上手い具合にアクの強さが滲み出ていて唸らせてもらいました。こういった文章を読むと、本当に上手な作家さんなんだと再認識ですね。文脈の運びが絶妙です。物の譬えひとつとっても美しい。これは吃驚しましたよ。
受けの秋祐が自分の性癖を昆虫という生物に例えて表現する辺りなんぞ、ものすごくヤラレタ感満載です。自分でも変だオカシイと気がついていながらも、どうすることもできないもどかしさ。他人と違う自分を受け入れるために苦悩する青年の心情が、雌でも雄でもないモザイク固体という昆虫生態と重ね合わさせる。なんだろう、こう何とも言えないのに言い得て妙的な感覚に、ストンと落ちてくるものがありましたね。ただそんな昆虫好きとは私は付き合えませんが(聞いてないって)。
っていうか、モザイク固体という言葉初めて知りました。
うーん、BLファンタジー、勉強になるなあ(笑。
秋祐にしても涼嗣にしても、どこか浮世離れをした性格の持ち主であり、その根底は同じように幼いころに起因している。秋祐は家、姉と自分のマイノリティに対して、涼嗣は兄と家柄に対してとその現れ方は違えども互いに欠けた面を持って生きてきた。でもそれをはっきりと先に自覚していたのは秋祐で、しかも涼嗣にもはっきりと認識させたのも彼が切欠になる。これが口火になって秋祐の秘めた恋心は目出度く成就することになる。この秋祐が涼嗣の無頓着な感情に対して心を静かに爆発させるに到る場面は、はるひんお得意の内なる気持ちと相手を翻弄する会話との掛け合いが絶妙に絡み合い、言うことないくらい高まりに向けた展開に持ち込んでるのはさすがというしかないね。
大きな山場というものはないのだけれど、同性でいとこ同士という中での秘めたる恋情の行く末みたいなものを考えずにはいられないような運びに、こっちは悶々とせずにはいられないのよね。ずっとひた隠しにしていた涼嗣への恋が突然実った秋祐の戸惑いや、悟ったように気がついた秋祐への想いに対する涼嗣の強い覚悟。それぞれがちょっとずつ浮世離れしているようで、それでいてぴたりと噛み合ったようなシンクロ感が読んでいて小気味がいいんですね。足りないものを互いに補え合えている、そんなフィット感覚を読み手が得られることは恋愛小説に大切だったりするもんです。
今市子先生の挿絵も、十二分にこのストーリーのプラス要因になってたと思う。どことなく浮いた二人の世界が違和感を感じなくもないですが、何となくレトロ感漂う今先生のイラストによって更にパワーアップし、不思議と不自然が自然に思えてきてしまってました。ははは。
複雑な展開がないからこそ、登場人物がそれぞれ印象深かったです。婚約破棄された理名や親友の佐伯、それこそ後半に出てきた澄江の存在は特殊で、秋祐との会話にはちょっと目頭が熱くなりました。苦笑。
はるひん本、否、崎谷本で他にこういった作品は知らないので、もっと違うのも読んでみたいなと思わせてくれましたね〜。
でもさ、せっかく作ってくれた浴衣はせめて脱いでよと思ったのは私だけでないはずだと思うよ(笑。

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