突然ですが、たこ焼き食べててベタだけどこの本を突然に思い出した(笑。
関西BLの代名詞ともいうべき久我本ですが、あまりにも関西弁がこなれすぎていて時々読みながらも「あれ、これってどういう意味なんだ?」とクビを傾げたりしています。まだまだ大阪在住2年ごときでは、この壁は越えられないでおります。ってか、特別乗り越えたくもないですが(笑。
森さんはときどきインチキ大阪弁をぶちまける、と周囲の人たちから頻繁に言われても無問題。そんなもん、雰囲気なんすよ、雰囲気。むふ。
上司のパワハラが原因で人の視線が気になり始め、勤め先を休職していた亘。だが大のたこ焼好きの亘は、その日勇気を出して評判のたこ焼屋に足を運んだ。そこで再会したのがかつて通勤電車の中で知り合い、たこ焼談義を交わしていた徳田。彼は脱サラし、たこ焼屋の店主となっていたのだ。徳田の視線にはなぜか緊張を覚えない。亘はリハビリを兼ね、彼の店を手伝うことになるが……?ソース風味、ナニワの恋の物語!!
昔からふと突然に食べたくなると、どうしてもそれを食べるまでやたらと執着するモノってありません?私はそれがソース類でした。焼きソバやお好み焼きはもちろんですが、たこ焼きがその代名詞!東京には、大阪ほどそんじょそこらにたこ焼き屋があるわけでなく、あってもスーパーのイートインコーナーの一角であったり、繁華街のチェーン店であったり。なので、結局「食いたいっ!」と思い立って行く先は、家の近所のスーパーの中にあるたいして美味しくもないたこ焼きくんでした。
じゃあ大阪にきたらそんじょそこらに美味い店はあるのか!?と思ったら、……あるね(笑。 あったよ、やっぱり。すごいよ、大阪。たこ焼きキングオブシティ大阪!今では、喰いたい!と思えば、すぐに美味いたこ焼きにありつけてます。まさしくこの話、読んだら速攻たこ焼き屋に足が向きました。どんだけ美味いんだ、「幸たこ」!という突っ込みはさておき、内容も近所のたこ焼き屋同様、非常においしゅうございました。
精神的に病むことは、字面で感じるよりももっと身近であり、もっと単純に存在するもの。感情あっての生き物である人間にとって、常に色々な境遇に接している状態で自分の精神を保っているということは、当たり前のようでいてかなり大変なことなんだと思う。今こうやって自分や周囲の人間が普通だと感じている状態で接していたとしても、その心の中に秘めている悩みや不安は、決して他人にはわかることはないのでね。昨今よく耳にするセクハラやパワハラ。これってやられてる被害者は心身ともに病むけど、ある意味加害者も病んでるよね。気がついてない分タチが悪いし。
パワハラが原因で対人恐怖症に陥った亘が、唯一気が休まる場所、というか精神安定剤的役割を担うのががたこ焼きのソースの香り。それが縁で知り合った徳田のおかげで、苦痛だった通勤中の車内でもある程度気持ちを保っていられた。対人恐怖症な亘が、その香りだけで初対面の人と話すことができるというのは、ちょっと腑に落ちないカンジも否めないけど、実際そういった精神的なことって案外ふとした切欠が切り口になるのかもしれないのかな。でもさ、いくら大好物だからってたこ焼きの香りかよっ!と強い突込みを忘れてはいけない(笑。
対極的な性格を持つ受けと攻めはよくある話だけど、実は受け以上に暗い闇を潜めていたのが攻めの徳田なんだよね。偶然の再会を機にリハビリとして脱サラで始めていた徳田のたこ焼き屋で働くことになった亘。亘の病状に心を砕く徳田には、実姉が亘と同様な病に冒された時期があったことを打ち明けるて、ゆっくりとマイペースで病と向き合っていけば必ず良くなると励ましてくれるんだよ。でも、そこで更に明るみに出たのは、徳田が経験してきた嫌な偶然。それは人の死に関わることなんだけど、さすがにちょっと言葉にできないね。
徳田自身がどうのこうのではなくて、そんな偶然がもし自分の周囲で重なれば、少なからずともやっぱり徳田の実姉のような心境に陥ってしまうような気がする。それくらい強烈なインパクトとして話の中ではかなりの中枢を持つネタ。確かにちょっと都合が良すぎるくらいに絶句させられるので、作りこみすぎだと思わないでもないけど、こういう精神的ダメージを通常のレベル、所謂、読んでる側にすんなりと納得させるには、ここまで持ってこないとダメだったのかなあと思うことにしよう(笑。
互いを思い遣りすぎて自分を疎かにしてしまう2人が、ちゃんと地面に足をつけて徐々に己の病を克服していく。不安という病に侵されている心の処方箋は、永遠の愛ということで一件落着ってことなんだわさ。そう、それはすべて愛ゆえの克服なのよねえ。ふっ、さすが恋愛小説。当たり前だけど(笑。
兎にも角にも、たこ焼きが食べたくなるので夜中に読むのは要注意!腐腐腐。