大好きな作家さんの新刊ラッシュに、色んな意味の涙がでます。くぅ。
で、菱沢本のタイトル、かなり大好物なものとなっておりまして、読む前からヨダレが出ます。でもよくよく考えたら、私はずっと年下が生理的にダメでした。でも今はウエルカム。…ん?なんでだ??と考えると、なんだ、単純に自分が年くっただけでした。だって年上っつったらBLファンタジー界ならまだしも、現世にはおっさんしかおらんもんね。あー若い子ってそれだけで罪だわ〜
やばい、やばいです!この作品も私的には今年のベストに間違いなく入りそうだ!ひえぇ〜
「俺の彼氏になって下さい」――七つも年下の大学生に告白された、塾講師の石田楓(いしだかえで)。賢い大型犬のように優しく頼もしいバイトの鴻島涼平(こうじまりょうへい)に、密かに片想いしていた楓は、喜びより戸惑いに混乱する。始まったものには、いつか必ず終焉がくる…。甘い蜜月の中で、楓はひとり予感に怯えるが!? 諦めていた恋が成就する、嵐のような幸福と不安――恋愛の光と影を繊細に綴る、純愛ラブストーリー。
最初から最後まで、ずっと恋をしている素敵な話に年甲斐もなく胸がトキメキました(笑。
両親を早くに亡くし天涯孤独という設定は往々にしてあり、またそのことによって受けの性格が非常に人間の業みたいなものを放棄したものになってしまうことは多いです。この楓には妹という守る存在があったし、また祖父母もある程度の年齢まで存命していたのですが、それでも十二分にこういった性格を形成する状況下ではあったのですね。失ったものの大きさに嘆くよりも、その嘆きをこれからは感じるようなものは持ちたくないと自らの感情を凍らせて、どこか達観したような人間になってしまう。表向きはフィーリアのように自分を与えることで他人を生かすような愛し方なので慈悲深く感じられるけど、裏を返せばそれは愛を求めることに欠落してしまっているということ。自我の欲求はないもとして生きてきているんだから、それこそ菩薩様に匹敵するんだろうけど、悲しいかな、楓はただの人間であってちゃんと煩悩を持っている1人の男なんだよね。涼平に対する思いに苦悩するのも、始めに別れありきで考えてしまうから。本来あるべき感情がないから、ネガティブ思考にしかならない。でもそんなネガティブさにも気がつかないで、慈悲深いベールで自分の表面を覆うことになる。……臆病にも程があるけど、そうしないと自我が保てない時期を乗り越えてきたからこその楓なんです。
こういった隠れネガティブな受けには、真っ正直で明朗活発な男が一番。無論、この涼平はそういう男です。ただの明るく優しい男かと思いきや、ちゃんと自分という人間の根底をわかってるんですね。だからムチャはしないし、そんな性格だからこそ今をどうしたいか、ちゃんと考えて行動することができる若いのにすごいヤツなんです。
一時は過去の楓の男が登場しすれ違いが生じるけど、最終的にちゃんとそのことに向き合い懸命に楓が断ち切ろうとする手を引っ張りあげるんだよ。
与えて与えられる喜びや変化、与えるだけでは起こりえない感情を互いに得られているということを教えてあげる。望む前から諦めていた夢のような想いは、もうしなくていいんだと気づかせてくれる。うーん、本当にこの年下の彼氏はかなりな男前!楓を自分のもとへと引き戻す言葉ひとつひとつが、本当に胸に響いてきてたまりませんでしたよ。年下ゆえの葛藤もある涼平の真摯な姿は、楓ならずとも魅了されるはずです。この辺りが菱沢本の上手いとこなんですよね。
強引さの欠片なく、それなのに惹かれずにはいられない言霊と情景をこれでもかと叩き込んでくるのには、読んでいてもう気持ちがいいったらありゃしません。
やっと本当に心から楓が恋愛を始めることができ、今まで知ることのなかった感情をこう表現してます。
こんなにも底がない。
心を縛るありとあらゆるものが消えてほどけて、手の中にいるのは大好きな人だけで、他にはなんにもここにない。感情にも感覚にも底はなく天井もなく、囲いも縋るものもない。この人しか確かなものがない。
この文章、本当にすごい。人を心から愛することへの解放はまさにこうなんだろうとセンチにも感じ入ってしまったし、不覚にも楓と一緒に泣きそうになった(笑。
サブキャラたちも本当にいい味を出してます。不要な人物は1人もいなかった!説明役のような楓の妹しろ、塾オーナーや塾生、楓の昔の男、涼平の家族……そういうもの全部ひっくるめて、恋をすることのすばらしさや切なさを繊細に紡ぎ出してくれた1冊になってます。余計な言葉がそぎ落とされて、でも饒舌に書かれている。そんな印象が深く残る大好きな本になりました!

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