三度目のキス / 火崎勇
Sat.21.06.2008 Posted in BL小説作家 *は行 火崎勇
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水ナスが美味しい季節です。この時期、この水ナスのお漬物をいただく機会が多くてホクホクです。今日も義母から水ナスのお漬物を頂けて嬉しい^^ しかもお気に入りのお店の品なので嬉しさも倍増。量はそんなに食べれませんが、あのみずみずしさはたまりませんね。

さて火崎本はかなりの冊数も持ってるし、もちろん読んでいるんですが紹介したことってなかったんですね…ちょっと自分でも吃驚です(笑。 この作品は本当に大好きで何度も読み返している1冊です。

三度目のキス (キャラ文庫)
(2000/03)
火崎 勇

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タイトルにかかっているキス。この三度目のキスを果たしてどんなシチュでどんな気持ちでどちらがしたのか…その怒涛のラストの切なさと愛しさには、目が釘付けになりますよ!!
ホント、大好きな1冊です!




この子が親友の“生まれ変わり”!?シナリオライターの太一を訪ねてきたのは、見知らぬ少年・麻人だった。麻人は自分が、昔死んだ親友・章吾だと言い張る。章吾に幼い好意を抱いていた太一は彼を拒めず、一緒に暮らすことにした。けれど太一は、無邪気になつく麻人の華奢な身体や薄い唇から、次第に目が離せなくなる。子供の頃の純粋な想いは、いつしか大人の欲望に変わり…?誰も知らないはずの想い出を、麻人はなぜか知っていて?心は大人、体は子供。リインカーネーションLOVE。




リインカーネーション(輪廻)のような設定は、今までにも題材として色々と取り上げられてきているのでさして珍しいことはないと思います。が、そういったことを差し引いても良い1冊だと思う。
まるでひとつの切ない映画にでもなりそうなくらいに、本当に本当に良くできている作品(誉めすぎ?)。でもね、これがBLだから万人に受けないなんてことはないと思う。それくらいに素敵で優しく切ない作品です。

火崎本ではよく見る攻めの一人称。よく受け側でないとBL本では感情移入が難しいといいますが、まったくそれは問題ないです。飾りのない言葉で語られる攻めである太一の感情の揺れは、痛いほど伝わり悲哀を感じることができます。冒頭から始まる太一の「好き」という概念の何ともいえない臆病さ加減。失うこと恐さ、目の前から消えてしまう恐怖に慄き、相手に深入りすることを極端に拒む。それはすべて小学生時代に体験した、幼いけれど、余りにも純粋で神々しくて素直な気持ちの名前をまだ気がつけないままに一瞬にして失ってしまった経験がずっとずっと心の棘として突き刺さったままだったからなんだよね。「ずっと一緒だ」「死ぬまで一緒だ」そんな幼い2人が交わした言葉を胸に棘は抜けぬままに月日は流れて大人になった。

そんな太一の目の前に突然現れた少年・麻人。自分を15年前に死んだ親友の章吾だと言う。こんな嘘みたいなシチュエーションを単純に受け入れるほど太一も莫迦じゃない。それでも2人だけしか知りえぬ会話や秘密を話す麻人に向き合い、あることを仕掛けて紛れもなくこの少年が章吾の生まれ変わりだとわかる。それがわかったときの太一の衝撃がもう本当になんだろう、泣けて泣けて仕方がなかったよ。リインカーネーションの概念はとても難しいかもしれないけれど、もしもそれが現実であればそれはどんな波を引き起こしてくれるんだろう。太一が麻人を章吾だとわかる。そこに渦巻き流れ出る感情の泉を止めることなんてできないよね。15年前のあの日、なんども遊ぼうと約束したのに永遠に叶えることなく一方的に訪れた別れ。また明日、またねと交わした言葉が二度と聞けなくなったあの日。そういったずっとずっと抑え続けてた感情の決壊した瞬間は、太一とまさにシンクロして涙が出てしょうがないです。一人称であることが如何なく発揮された瞬間でもあります。

幼すぎたまま交わした言葉、幼すぎた恋心は、27歳になった太一の心にずっとずっと大切にされ生き続けていたんだよね。それは12歳で逝ってしまった章吾もそうだったんだよ。確かに12歳で逝き、突然太一の目の前に現れた麻人は15歳だけど、ちゃんと太一と一緒に心は27年成長しているんですよ。でも、今の現実世界では15歳という未成年でしかない。太一は次第に麻人(=章吾)に対する気持ちが、大人に抱く恋情と同じであると意識するようになるんだけど現実とのギャップに苦悩するんだよね。それまで品行方正に生きてきたとは言いがたい太一は、まだ15歳の麻人を汚したくない、傷つけたくない、ましてや嫌われたくないと願う。それは麻人が誰よりも何よりも一番大切で絶対に二度と手放したくない宝物だから。それは麻人(=章吾)も同じ気持ちなんだよね。自分は気持ち的にはちゃんと太一と同級なんだけど、実際の自分は15歳の少年でしかない。互いが互いをとても大切に思い、手を伸ばし繋ぎたいのにその想いが上手く通わすことが出来ない。もうなんだろう。その姿や互いを思い遣る気持ち、大切にする想いが細かい心理描写や2人の言葉のぶつけ合いが、本当に切なくて愛おしくて泣けてきて……胸が痛いです。

見た目は大人と子供の恋愛に見えるけど、実際はちゃんとした大人の恋愛なんだよね。

こんな2人を見ていると、本当に優しい気持ちになれるんです。大切な人をこういう風に好きになれたらどんなに幸せなんだろうと思うんですよ。

「15歳の俺を抱くのが恐いなら、俺が太一に抱かれてあげる。俺が手を伸ばしてあげる」



もうラストから一気に流れ込んでくる2人の切なくも愛し過ぎる激情に涙しつつ、読了後はもう胸が一杯で放心状態。ため息とともに、何度読んでもいい本読んだなあ〜と大満足できる1冊だと思う。高久尚子先生のイラストもベストマッチで、申し分なしだしね。これはホント、リインカーネーション設定がNGでなければぜひ読んで欲しい1冊ですよ!!

嗚呼〜ホント、よかった。




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