年上の恋人 / 岩本薫
01 09, 2009 | Posted in BL小説作家 *あ行 岩本薫 | Thema 本・雑誌 » ボーイズラブ
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なるほどなあと思うのですよ。年の差カプの悩み何処って大体そうなんだろうなあと。実際問題として自分の経験値の中でそういうのがないもんで、色々と想像の域を出ないですけど。
この作品は、以前ビブロスから出ていた「太陽の恋人」というノベルズの文庫化だそうです。私にとっては初読み作品だったので無問題でしたけど。
岩本作品、あまり得意ではなかったですけど、これはかなり入り込めましたね。だから途中までしんどかった(笑。 恋は色々な不安も付きまとうもんですなあ。
この作品、好きですね〜うふふ。
眩いばかりに若くて野性的な6歳年下の幼なじみ兼恋人の及川悦郎。しかし5年前、悦郎に告白され、熱情に流されるようにしてセックスをしたあの日から、鳴沢水城は悦郎に対し罪悪感を持っていた。実の弟のように愛しんできた悦郎の将来を考えるなら、あのとき大人の自分が彼を拒むべきだったのではないか…と。耐えきれず悦郎のために別れを切り出した水城だが!?「なぁ…言えよ。二度と離れないって。オレなしじゃ生きていけないって」一途な年下の男×大人の男が贈る情熱的なラブストーリー。
近所に住む幼い幼馴染・悦郎を実の弟のように可愛がり、ときに兄のように、ときに母親のように接してきた関係が、音も立てずに静かにそのカタチを変化させていたことに気がついたときには、もうその流れに飲み込まれるように落ちていく。そのことを「年の差」があるというだけで、そこに「親心」ありきだったというだけで、勝手に罪悪感を持ち自分を卑下していく水城。
タイトルが「年上の恋人」となっているので、視点的に攻めの悦郎なのかと思いきや、その年上の恋人と自覚している受けの水城視点となって話しが進んでいくので話には入りやすいし、その負の感情にも触れやすい。往々にして年上が年下を慮って自ら身を引くという展開はテンプレで、それはリアルでもありえること。だからこそありがちな思惑でも共感しやすいし、受け入れやすい。表面だけのその展開は、あたかも相手のためだけを考えているような美しい感情だが、その実、中身はドロドロでそんな展開は単なる自己満足と己の詭弁でしかないということがわかる。だからこそ読者としては、そういう考えは「ネガティブ」であるだけで、けして人生の上でプラスに働くことがないと感知し、その行動に出る水城に対してイラつきを覚えるのだ。ここで終わってしまうと実はBLファンタジーにはならないので、ちゃんと水城は自分の浅はかな行動を悔やむことになるのだけれど。
年の差というものは、実態はけして縮むことはないけれど、感性は追い越し追い越せになるものだということに気がつけたとき、初めてこういう関係はなりたつのだと思う。得てしてこういう場合、年下の方がそのことに気がつき、ジタバタする年上を静観したり、大きく受け止めてあげたりするのだなあ。
ここで受けの水城のネガティブさを後押しするような立場にいるのが、実母の存在。自分がマイノリティであることを必死に隠しているほど罪悪に捕らわれ、悦郎が自分を好きになったのも、己の欲望が招いたものだと思い込むほど。「普通」に固執し、「世間体」を気にする母親との対立はジワジワとそのネガティブさに拍車をかけていく。
とにかくこの水城視点で永遠にこのネガティブさに付き合わなければならないのだ。それだけではなく、この母親との対決にも付き合わされる。そりゃもう疲れることこの上ないわけで。心身ともに削りとられていく水城が痛々しいし、でもそれを招いたのは水城本人だしで、悦郎ともう一度向き合う場面までは本当に辛いのだ。
これは所謂「深いい話」ってヤツなんですかね?(笑。
かなりグッときて切なく遣る瀬無く、そして胸に熱く迫るものがある作品です。水城、悦郎それぞれが成長し、手と手を取り合え、かけがえのない存在であると認め合い求め合い2人で人生を歩むことを決めたその姿には感無量です。しかもそれだけじゃなく、この作品に登場するすべての人たちがちゃんと自分たちの人生を歩み、成長し変化していく姿にも心を打たれるのですね。あの鬼門だった母親もちゃんと変化していることにも幸せを感じますよ。
恋愛のベクトルは、ちょっとしたことで簡単に傾いてしまうと思いがちだけど、そういう風に思っているのは実は本人だけだったりする……そういうことなんだなあと思ったり(笑。
共に成長した大人味の書き下ろしは、本当に素敵です。愛し愛されることを普通だと思える相手がいるって素晴らしい!
不器用な2人の揺ぎ無い十年愛。しっとりと堪能できると思いますよ〜。












