真夏の夜の御伽噺 / 秀香穂里
07 03, 2009 | Posted in BL小説作家 *さ行 秀香穂里 | Thema 本・雑誌 » ボーイズラブ
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大好きな秀本の新作は、びっくりのファンタジーモノ。
いや〜こうきたかっ!
でもファンタジーでも秀節は健在で、全然甘ったるくなく仕上がっていて嬉しい限り。私はこういうの好きだなあ。っていうか秀作品はなんでも好きなんだけど(笑。
絵師さんが佐々木久美子先生なんだけど、とにかくこの攻めの岡本のトレッドなんだかクセ毛なんだかわからん髪型に度肝を抜かれた!凄いぜ、ダンナ!!きっとシャンプー代もバカにならないだろうなあ、と他人事ながらに心配。きっと虫が入り込んでもわからない…いやむしろ、虫の方が抜け出せなくて絶体絶命の大ピンチと化すだろう。でも意外に気を使って、トリートメントなんかしていてローズの香りなんかさせて手触り抜群なのかも……などとどうでもいい妄想に耽らせてもらいましたとさ。
キャンドルを灯すと、秘めた願望が夢で見られる―。仕事に不満を抱えた旗野が迷い込んだ、都会の片隅の喫茶店。店主の岡本は不思議な雑貨も扱っていて、「お前に面白い夢を見せてやるよ」とキャンドルを渡される。半信半疑の旗野だが、その夜、夢に恋人だという岡本が現れてキスしてきた!!最初はキス、次は胸への愛撫…夜毎に激しくなるリアルな夢に、旗野は現実と夢を混同し始め―。
下ばっかり向いててもいいことがないけれど、たまにはめっけモノがあったりするという嬉しい事実がたまにある(笑。 この受けとなる籏野が偶然にも迷い込んだ場所は、そのめっけモノ…いや、彼にしてみれば化かしの館、はたまた変身願望の具現化かといった場所。生真面目で実直、だけど融通がきかない上にあまり自分自身に自信を持てず、今ある現実に置かれている石ころに躓いては、それをその石ころのせいにしか出来ないでいる。こんな風に表現すると、ナンだかとてもカワイゲのないヤツにしか思えないのだけど、籏野はちゃんと可愛いヤツなのだ。人付き合いが苦手、気の利いた話が出来ない冴えない男。そんな評価を自分に下しながらも、昔から抱いていた夢を諦めずに何とか踏ん張って歩いてる。己を卑下するようなうざったい性格を持つ反面、譲れない確固たる信念をちゃんと心に抱いているこのアンバランスさが上手い具合にこの籏野という男の可愛さとなり、読者の興味を惹いてくれる。まあ多少の鬱陶しさは無きにしも非ずといったところだけど、その辺はご愛嬌。
この頑張りがどうも実を結ばず空回りしてしまう籏野が、ふと迷い込んだ店が「quest」。ちょっとしたミステリ小説にでもありそうな展開は、いつの頃もどんな時も読者をワクワクさせてくれるアイテムですな。しかも今回はファンタジーということで胡散臭さが満載な店舗作り。もちろんその店主である岡本も胡散臭さ大満載(笑。 よくよく考えれば、この話はファンタジー前提なので、これはミステリ小説というよりもRPGといった雰囲気で、俗にいうところの『籏野はここでキャンドルをゲットした』とか画面に出てきそうな勢い(笑。まあそんな勢い(←どんな勢いだよ)で、籏野は摩訶不思議なキャンドルというアイテムをゲットすることになり、思いもよらない物凄い怒涛の展開へと突進んでいく。
確かにありえない設定だけれど、そこに絡んでいるのは籏野という男の成長記録でもある。自分の自信のなさが仇となり、あまつさえ己がずっと抱いていた夢さえも霞みそうになっていたけれど、この摩訶不思議(笑)キャンドルと岡本との出逢いにより、自分という殻を破れなかった籏野は少しずつ新しい道があるということに気がつくことになる。結局は下ばかり向いていても転んでばかりだということに気がつき、周囲を見渡し自分が今いる道をちゃんと小石を避けながら歩くことが出来るのだということを知るのだ。籏野自身が岡本との関係によって色々と悟っていく過程は、なんだか小鳥の巣立ちを見ているようで微笑ましいものがある。うん?微笑ましいというか、ホッとするというか安堵するというか。まあそういう意味でも、やっぱり籏野は可愛いヤツなのだ。
色々とツッコミどころ満載なファンタジーに、終始ご満悦で読了。そしてファンタジーであっても秀作品はやはりワークストーリーなのだ。籏野の仕事にしても、岡本の胡散臭い仕事にしても(笑)本当にジックリと入れ込んで読める。抜かりなし。しかも秀本ならではのエロ度数も下がらず、夢の中も現実もいやはらエロい(笑。 それにしても岡本の風貌どおりなあの攻めっぷりは凄かった…挿絵の岡本の髪型と比例して言葉攻めも凄かった(笑。 あの「可愛すぎるぞ、この野郎」とか「おまえが可愛すぎて死にそう」のターンはこっちが悶えたっちゅうの!
書き下ろしに出てくる摩訶不思議アイテム(笑)四葉のクローバーもエエ話や〜。まさに青い鳥の話やなあ〜と一人悦に入って読んでいたのは私です。今回の秀版ファンタジー、本当に面白かったなあ。またこういうのお願いします!












